鴨居玲が没してはや20年が過ぎようとしています。酔っぱらいや廃兵、しわに埋もれた老婆など、醜怪ともいえる姿がいつしか心あたたかく、光輝にすら思えてくる鴨居の作品は、見る者に「いのちとは何か、人生とは何か」を問いかけます。自己の内面を鋭く抉り出し、内部の燃えさかる光をカンヴァスに描き出した、その真摯な姿が、人の心を捉えてやまないのでしょう。
本展では、没後20年に際し、初期の自画像から晩年の作品まで、各時期の代表作を中心に未発表の作品を含めた油彩、水彩、素描など110余点を一堂に展示し、鴨居芸術の全容をご覧いただきます。