鎌倉時代に禅宗が中国から日本にもたらされるとともに禅僧の間に浸透した禅宗絵画は、室町時代には水墨画として隆盛を迎えるものの、本来の禅の精神から離れた画風に変化していくことになります。しかし、江戸時代に黄檗宗の美術が渡来して文人画と呼ばれる絵画が盛んになっていく一方、禅宗絵画においてもそれまでの純粋な宗教性を保ちながら「悟りの境地」といった内面的なものを画面に表現することを重んじた禅僧たちが登場します。
本展覧会では、当館所蔵の文人画作品の中から、白隠、仙厓の作品を中心に、文人墨客と呼ばれた人たちと禅宗美術や黄檗宗との関わりにスポットを当てて紹介します。