女優・オードリー・ヘプバーン(1929-1993/ベルギー生まれ)は、バレリーナを夢見る少女でした。1948年にロンドンに渡り、バレエスクールに入学しますが、高身長のためプリマを断念。その後いくつかの舞台や映画に出演していた彼女は、1951年、映画『モンテカルロへ行こう』撮影時に、フランスの作家シドニー=ガブリエル・コレットに見いだされ、ブロードウェイ・ミュージカル『ジジ』の主演女優に抜擢されます。そしてハリウッド映画『ローマの休日』のスクリーンテストに見事合格、王女役をつかみ取ったオードリーは気品に満ちたプリンセスを可憐に演じ、一躍スターへの道を歩み始めます。
前髪を短く切り、サイドをカールした髪型“ヘプバーンカット”は話題を呼び、映画『麗しのサブリナ』では、自らがジバンシィのパリ・コレクションから衣装を選びました。黒のトップス、細身の八分丈パンツにフラットシューズは“サブリナ・ファッション”として世界中にブームを巻き起こし、ファッションアイコンとしても多くの女性のあこがれの的となりました。
『ローマの休日』『パリの恋人』『ティファニーで朝食を』『シャレード』『パリで一緒に』『マイ・フェア・レディ』『おしゃれ泥棒』など数多くの映画を大ヒットさせ、プライベートでは二人の息子の母となり、晩年にはユニセフ(国際連合児童基金)親善大使として困難な生活を送る子どもの保護活動に貢献しました。このようなオードリーの信念ある生き方は今も多くの人の共感を得ています。
本展は2024年が生誕95年となることを機に、彼女が出演した映画をテーマに、著名な写真家の作品を含む約120点の写真を展覧します。