みなさんが思い浮かべる未来は、どのような姿でしょうか。あまりに壮大で漠然としており、はっきりとした輪郭をつかむことは難しいかもしれません。しかし、だからこそクリエイターたちは、美しく、驚きにあふれた、より魅力的な世界を想像し、プロトタイプを通じて確かめるのです。本展では、山中俊治が大学の研究室でさまざまな人々と協働し生み出してきたプロトタイプやロボット、その原点であるスケッチを紹介するとともに、専門領域が異なる7組のデザイナー・クリエイターと科学者・技術者のコラボレーションによる多彩な作品を、「未来のかけら」として紹介します。
いつの時代も、最先端の科学技術とデザインはすぐそばにありました。科学者が生み出す知識や技術はデザインを通じて人々の元へ届けられ、デザイナーたちによって開かれた新しいライフスタイルは、次の研究のトリガーであり続けました。そこには新鮮な出会いがあり、葛藤があり、ドラマがあり、時代ごとに私たちの生活が一変するようなイノベーションを生み出してきたのです。
本展は、今まさに起こっている科学とデザインの邂逅により芽生えつつある「未来のかけら」を探るものです。最先端のロボティクス、積層造形、構造形態学、身体拡張、バイオエンジニアリングなどの研究者たちと、さまざまな分野のデザイナー、アーティストたちがタッグを組んで未来のかけらを錬成します。実験室で生まれたばかりの物語の断片を繋ぎ合わせてまだ見ぬ世界を描くのは、ご来場いただく皆さんです。
展覧会ディレクター 山中俊治
参加作家:荒牧 悠+舘 知宏、稲見自在化身体プロジェクト+遠藤麻衣子、A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature Architects、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)+山中俊治、東京大学 DLX Design Lab+東京大学 池内与志穂研究室、nomena+郡司芽久、村松 充(Takram)+Dr. Muramatsu、山中研究室+今仙技術研究所・稲見自在化身体プロジェクト・臼井二美男・宇宙航空研究開発機構(JAXA)・岡部 徹・河島則天・斉藤一哉・SPLINE DESIGN HUB・鉄道弘済会義肢装具サポートセンター・新野俊樹・Manfred Hild・吉川雅博|企画:野村 緑(fuRo)、村松 充、阪本 真|グラフィックデザイン:岡本 健(岡本健デザイン事務所)|会場構成:萬代基介(萬代基介建築設計事務所)|テキスト/企画協力:角尾 舞|テクニカルディレクション:古田貴之(fuRo)、杉原 寛|21_21 DESIGN SIGHT ディレクター:佐藤 卓、深澤直人|アソシエイトディレクター:川上典李子|プログラム・マネージャー中洞貴子|プログラム・オフィサー:鈴木麻耶、安田萌音