長い歴史のなかで「石に刻みあらわすこと」は、人々が古くから続けてきた主要な記録方法の一つ。その証拠にわたしたちの身のまわりにはたくさんの石造物がのこり、そこには、人物の名前や建てられた年代、経緯などさまざまなことがらが刻まれています。
この展覧会では、美濃加茂市内にある土地改良碑や人物顕彰碑、戦争記念碑、道標を中心に、そこに刻まれた文字やかたちをひも解くなかで、当時の出来事や社会情勢、信仰などかつての地域のすがたを浮き彫りにし、そこに染み込んだ人々の思いに光を当てます。
今もなお、各地で造立され続けている石造物たち。景色に溶け込みながら、静かにたたずむ石たちに耳を傾け、身近に息づく歴史に目を向けることで、〝石に刻む〟という人の営みについて、改めて見つめる機会になれば幸いです。