カール・アンドレ(1935-)は1960年代後半のアメリカを中心に興隆するミニマル・アートの代表的な彫刻家です。日本の美術館において初めての個展となる本展は、木、金属、石の同一ユニットを床に直接置き、規則的に広がるアンドレの彫刻作品を大きな空間で展開します。無機質な印象とは裏腹に、実際の作品を前にすると物質の質感や重量感、不揃いな形、汚れや傷、錆といった完璧でない素材そのままの大らかな姿を見ることができます。
また、単語を組み合わせて構成されるアンドレの詩をまとまったかたちで紹介します。読むことでも眺めることでも楽しめる詩は、歴史、哲学への興味、地元クインシーへの愛着、身近な人々との関係などアンドレの思考が反映されています。彫刻と詩という離れた表現で展開する、簡潔ながらも単純ではないアンドレの作品をぜひお楽しみください。