宇野静山は、1906年北海道留萌管内の苫前町に生まれました。札幌師範学校(現・北海道教育大学)を卒業。“現代書道の父”と呼ばれた比田井天来に師事し、書家としての途を歩み出します。小樽市内で高等学校の教師を務めながら研鑽を積み、線を大切にする正統派で、骨太・簡潔な書風で知られました。1948年に創設された「毎日書道展」で当初から運営に携わり、53年に は日展に入選。臨書を基礎にした斬新な作風で、戦後北海道書道界のけん引役として活躍しました。1940年自ら「臥龍社」を創設し、1964年第1回展を開催。門下のそれぞれの個性を尊重しながら、気品と風格のある書風を浸透させ、半世紀にわたって指導を続け、金子鷗亭と同年代の北海道の先達の一人でした。
漢字を中心に、調和体の濃墨、淡墨から篆刻まで多彩であり、小樽に書道文化を根付かせた功績から、小樽市文化功労者(1970)、続いて、北海道文化賞(1977)、地域文化功労者文部大臣賞 (1987)を受賞しています。
80歳で中国・大連で個展を開催するなど、海外にも活躍の場を広げ、最晩年は「人生百年」を好んで書きました。
長年小樽に住まい、毎日書道展名誉会長・北海道書道展運営委員長・全日本書道連盟参与・小樽書道市展委員長などを歴任し、2010年7月、103歳の天寿を全うしました。
本展は、北海道書道界の重鎮として長く指導に携わり、毎日書道展のほか、創玄書道会や北海道書道連盟の創設にも深くかかわってきた宇野静山の書作品を展覧し、その功績を偲ぶものです。