『万葉集』は奈良時代末頃に成立したと考えられている我が国最古の歌集です。長歌・短歌・旋頭歌(せどうか)など4500首余りの歌が収録されており、採られた歌人は天皇から庶民まで幅広い階層におよびます。『万葉集』は100年以上の長い期間に詠まれた歌が収められているため、今日、歌風を検討する際には、舒明(じょめい)朝から壬申の乱までを第1期、壬申の乱以後奈良遷都(和銅3年)までを第2期、奈良遷都から天平5年までを第3期、天平6年以降淳仁(じゅんじん)天皇の天平宝字3年までを第4期というように4つの時期に区分しています。
本展では、それぞれの時期の代表的な歌人である額田王(ぬかたのおおきみ)、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)、山部赤人(やまべのあかひと)、山上憶良(やまのうえのおくら)、大伴旅人(おおとものたびと)、大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)、大伴家持(おおとものやかもち)という7人に焦点を当て、「万葉日本画」や古典籍、陶磁器人形といった当館のコレクションを展示します。万葉歌人たちの業績や生涯を美術作品から紹介し、万葉歌が詠まれた時代をたどるものです。