高橋由一は、西洋画の迫真性を多くの日本人に伝えるために身近な「鮭」というモチーフを選び、鱗の一枚一枚まで写し取るかのように描写しました。現代においても、森本草介や小木曽誠、陶山充らは写実を追求して精密な絵画を生み出しています。由一の没後130年にあたり、本展では彼ら写実の画家たちはじめ、アーティストによるオリジナルな表現の探求に着目します。サルバドール・ダリは対象をリアルに捉えながら超現実世界を表し、ポップアートを代表する画家、ロイ・リキテンスタインは漫画の一コマを拡大して印刷インクのドットまで描出しました。また、写真を利用して新たな可能性を模索するアーティスト、ヴィック・ムニーズらの作品とともに、広告写真を中心に活躍している海老原豊、テレビ番組に携わりドローン映像でも注目される小曽納久男らの写真を紹介します。