主に紙に写し取られ、複製可能で、遠く離れた人々とも同じイメージを共有できる点では、版画と写真は共通の機能や役割を持っていると言えます。両者は、技術の向上や作家自身の創意工夫、探求の結果、それぞれ芸術表現としてのジャンルを確立していきました。
本展では、不知火美術館のコレクションの中から版画と写真作品をご紹介します。
野田哲也の「日記」シリーズは、自身の日常を写真に撮り、版にするまでの過程で様々に手を加えることで、個人的な日常の風景を見る人の心の琴線に触れ、共感を呼び起こす普遍的な作品世界を構築しています。
河野浅八の作品は、絶妙な構図と豊かな明暗のグラデーションに、光と影が作り出す形の面白さが加わり、静寂でどこか幻想的な雰囲気が感じられます。
当館が誇る収蔵作家2名による表現の多様さや、イマジネーションあふれる作品をお楽しみください。