二〇二四年の干支は辰(龍)。十二種類の干支の生き物の中で、龍だけは想像上の生き物です。しかし、昔の多くの人はその存在を信じ、瑞獣[ずいじゅう](特別な時に現れるめでたい生き物)と考えてきました。江戸時代の百科事典には、龍の体の特徴が書かれており、それによれば、「頭は駱駝、角は鹿、目は鬼、耳は牛、項[うなじ](首の後ろ)は蛇、腹は蜃[しん](龍に似た想像上の生き物)、鱗は鯉、爪は鷹、掌[てのひら]は虎」に似ているそうです。龍は、雨をつかさどり、鱗のある生き物たちのリーダーだと考えられました。昔の中国のある時代には、皇帝が使うものに五本爪の龍が描かれ、他の人は五本爪の龍の形を使ってはいけない決まりがありました。
この展示では、日本や中国の美術の中に表わされた、いろいろな龍をご紹介します。実際に見ることができないからこそ、想像力を働かせ、生み出されてきた個性豊かな龍たちの姿を、展示室でぜひご覧ください。