数十台のアナログな映像機材で構成される〈ヴィデオ・フィードバック〉のシステムを使用し、自由に流れる電子データから映像/サウンドの即興を作り出す河合政之が、二項対立でないアナログとデジタルの関係性を再検証し、アナログの人智を超えた創造性を再発見する展示とライブパフォーマンスを行います。
私のヴィデオ・アート作品は、刻々変化するイメージを生成します。それは世界に唯一その瞬間しか存在しないイメージを生み続ける、一種の生命体のような作品です。
映像の機材どうしがループ(閉回路)を形成するように繋がれたそのシステムが、熱や電波など、予測できない環境の変化をアナログに取り込み、ノイズともシグナルとも定義できない、意図されないモーメントのみが集積・増幅されます。こうしたアナログな閉回路を用いた手法は、〈ヴィデオ・フィードバック〉と呼ばれています。
アーティスト自身や観客もまた、そのフィードバックの中で定まることなく変化するモーメントのひとつとなり、人間のコントロールを超えたイマジネーション(想像力=映像化作用)に参加することになります。
―河合政之