タイトル等
小林 良一《油絵具の欲望》
会場
ヒノギャラリー
会期
2023-10-10~2023-10-28
概要
油絵具の欲望
私は「絵画」をイメージする時に、油絵具の質感や表情を伴って思い浮かべるのであるが、油絵らしい表情というものも時代とともに変わってきている。厚く重ねられた渋い色調の画面から、キャンバス地が心地よく感じられるフラットなものまで相当な幅がある。それらの一部はアクリル絵具で表現されても、内容に変化はないだろうと思える。

私が油絵具を使う理由は、何度でもやり直しができるところにある。そして、その制作のプロセスのすべてが画面に残っていると思えるからだ。もちろん隠れて見えなくなってしまう層がほとんどなのであるが、下にある層から突き上げてくるようにも感じられるのだ。

しかし、油絵具はその表情の豊かさのために、理念やコンセプトの邪魔となり表現を曖昧にするとして、遠ざけられた時代もあった。油絵具は肉体と似ていると思う。もともと肉体を表現するために作られたものだろう。時として、疎ましく思えるくらいの強さと表現力を持つ絵具である。

制作の過程で、画面上の油絵具の状態が、その後の方向を決めることもある。制作は淡々と進む訳ではない。感情的になる瞬間も多く、少しやけを起こしたような行為がなされることもある。その時の絵具の状態に、周りが引っ張られることもあるということだ。それは正直な反応とも言えるが、惑わされている時でもある。しかし近年の制作では、この惑わされているような時にヴィジョンが明確になってくることが多い。

最初に完成のイメージを持たない分、この描き出しにおける油絵具との関わりは、より直接的になっているようだ。目的を持たずに始まって行く感じは、不安ではあるが、まだ見ていない油絵具の表情や絵姿が現れてくれるという期待も大きいのだ。
2023年9月
小林良一

ヒノギャラリーでは2023年10月10日(火)より「小林良一《油絵具の欲望》」を開催いたします。

小林は1980年代後半より油絵具と向き合ってきました。40年近く絵画制作を続けるなかで、この素材から享受したものが今回の展覧会タイトルにも反映されているように思います。

本展に寄せた作家のコメントからは、ある種、絵具によって画面が導かれていくかのような受動的な印象もうかがえますが、色を選び、筆を動かすのは他でもなく画家自身であり、何度も塗り重ねる行為や、時として想像もせぬ絵肌が画面に現れることも、素材の反応(欲望)に作家が対応した結果であるといえます。《油絵具の欲望》とはつまり、作家を制作へと突き動かして止まない衝動、それは小林のなかにある絵画における可能性への期待であり、作家自身の願望といえるかもしれません。

小林の弊廊での個展は約3年ぶりとなり、今回は200号の大作2点を含む新作の油彩画を展観いたします。どうぞご高覧くださいませ。
イベント情報
*オープニングレセプションは控えさせていただきます。
ホームページ
http://www.hinogallery.com/2023/3076/
会場住所
〒104-0042
東京都中央区入船2-4-3マスダビル1F
交通案内
●JR線・地下鉄日比谷線「八丁堀」A2番出口より徒歩5分
●地下鉄有楽町線「新富町」7番出口より徒歩5分
ホームページ
http://www.hinogallery.com/
東京都中央区入船2-4-3マスダビル1F
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