江戸小紋の型染の名手として知られる茨城県内在住の浅野榮一は、縞染(しまぞめ)を中心に制作を続けています。型染には、生地に型紙をあて均質に防染糊を置く糊置きの工程や、染料を混ぜた糊で生地をしごく染めの工程、染め上がり後に型継ぎの微細なずれを手作業で修正する地直しの工程など、高い技術や集中力を要する多くの作業が含まれます。こうして生み出された縞は、整然とした中にも、手わざのわずかなゆらぎがもたらす趣や格調があり、見る人を魅了します。
浅野榮一は長年にわたり縞染に取り組む中で、こうした技の向上に常に真摯に向き合い、優れた作品を生み出し続けてきました。本展ではその業績を、着物、着尺などの作品約30点で紹介します。