草雲と門人 群鳩之図のリアル
田﨑草雲(たざきそううん)(1815-1898)は、花鳥画も得意とし、さまざまな名品を残しています。伝統的な技法を駆使した花鳥画のみならず、実際の動植物を観察して、その生態をもうかがい知れるような写実的な絵も描いています。
今回初出陳となる《群鳩之図(ぐんきゅうのず)屏風》は、写実の中にも叙情性あふれる草雲の花鳥画を代表する作品です。六曲一双屏風という大空間を生かし、霧にけむる林の間を飛び集まってきた鳩の群れを、写実的かつ優雅に描いています。
本展は「草雲と門人」シリーズ第3弾として、「花鳥画のリアル」を草雲と門人たちの作品約20点で紹介するものです。草雲の鋭い観察眼で描かれた草花、鳥、昆虫画などや、岸浪柳渓(きしなみりゅうけい)、古川竹雲(ふるかわちくうん)たち門人の初公開作品も含め、一門の花鳥画に込めた「リアル」をお楽しみください。