千年もの間、やきもの作りを連綿と続けてきた瀬戸では、様々な陶工がその時代に合わせ、やきものの発展を願い、試行錯誤を繰り返し、現在の一大生産地となりました。その始まりは11世紀(平安中期)に遡ります。瀬戸陶芸は中国・宋や朝鮮の舶載品の模倣から発展し、鎌倉時代には釉薬を施した四耳壺、水柱、瓶子が多く作られてきました。瓶子は祭祀用のやや大型の酒器ですが、武家層や寺院などを中心に鑑賞用としても受容されていました。こうして瀬戸は国産高級陶器の産地としての地位を確立します。その後、時代のニーズに合わせて瀬戸陶芸は発展を遂げてきました。
18世紀になると名を冠する名工たちが日用品とは異なった陶磁器の世界を展開し、明治期には西洋文化が享受され、さらに産業技術の発展の手助けによって瀬戸は大きく発展します。そうした中、明治中期に、全国でもいち早く、陶芸家たちを育成する学校が開校し、昭和に入る頃には作家たちで構成された陶芸家集団がつくられ、瀬戸陶芸協会の母体が生まれました。こうした作家たちの運動は全国的に見ても瀬戸が最初期であり、瀬戸陶芸協会は日本で一番歴史のある陶芸家による団体で、1936年に発足されました。
本展では、瀬戸陶芸協会設立百年に向け、協会員が瀬戸陶芸の原点ともいえる瓶子づくりに挑戦します。瓶子から高級陶器へ、そして現在ではオブジェなど生活空間で受容されている瀬戸のやきものの発展の歴史を瀬戸陶芸協会の現会員の作品で辿っていきます。
設立百年に向け、新たな道を歩みだした瀬戸陶芸の「今」をお楽しみください。