当館は、1992(平成4)年に洋画家・笹岡了一(1907-1987)の絵画163点が旧新津市(現新潟市秋葉区)へ寄贈されたことがきっかけとなり、1997(平成9)年に現在の地―笹岡が生まれ育った金津地区―に「新津市美術館」として開かれました。これらの笹岡の作品群は、当館のコレクションの中核をなしています。
笹岡は、自身の創作活動に加えて地域の美術振興にも力を尽くし、多くの後進を育てました。1963(昭和38)年には「新潟光風会」を発足させ、作品発表や研究活動の場をさかんに設けて、新潟県内の美術を志す人々を励ましました。同会は、その後、光風会新潟支部、光風会新潟へと変遷しつつも、60年を経た今日まで新潟の主要な美術団体であり続けています。
本展では、当館所蔵品によって、笹岡の画業を振り返るとともに、新潟光風会を中心とする笹岡とゆかりの深い作家たちの絵画や工芸品を展示します。彼らの間で交わされ、共有され、受け継がれてきた創作への熱を、会場で感じてみてください。