版があって面ができる―版を作り、紙などに写し取る版画は、多種多様な制作方法があります。版木の凹凸からうまれる力強い表現の木版画[凸版]、緻密な線表現が可能な銅版画[凹版]、描画した風合いがそのまま反映されるリトグラフ[平版]、インクの物質感が特徴的なシルクスクリーン[孔版]。
また、銅版画一つとっても、金属板に彫刻刀で直接彫るエングレーヴィング、金属腐蝕の作用を利用したエッチング、版の無数の傷から独特の黒い面が得られるメゾチントなど、技法によって、使う道具が異なり、表現できる線や画面も大きく変わります。
目黒区美術館では、こうした多様な技法で制作された、様々な作家による版画作品を収蔵しています。1点からなる作品、複数枚の連作で1つの作品とするもの、版画集など、形態も異なります。本展では、版画技法の特徴に着目し、当館コレクションの中から版画のいろいろな魅力を紹介いたします。
また、特集展示として「秋岡芳夫全集」を開催します。このシリーズ展は、2011年(平成23年)に開催した目黒ゆかりの工業デザイナー秋岡芳夫の回顧展「DOMA 秋岡芳夫展」後に開始しました。6回目となる今回は、1950年代に制作された銅版画を中心に展示します。
〔出品予定作家〕
青木野枝、池田満寿夫、柄澤齊、清原啓子、草間彌生、国吉康雄、駒井哲郎、中林忠良、長谷川潔、深沢幸雄、松原直子、山本鼎、淀井彩子、ほか