おや、どこかから重たい足音が聞こえてきませんか?
美術館に足を踏み入れると、ああ!たくさんの恐竜たちが歩いています!ここは、トイザウルスたちがのびのびと暮らす楽園「トイパラダイス」です。トイザウルスをよく見ると小さなおもちゃがたくさん集まって、今にも動き出しそうな恐竜の姿になっています。
夏の不知火美術館企画展は、美術家・藤浩志が展示室をトイザウルスが暮らす、私たちの日常とは別の世界に作り変えます。展示室の中の造形物の素材は、すべておもちゃ。家庭で不要になったおもちゃの物々交換システム「かえっこ」を各地で行うなかで集まったおもちゃを丁寧に分類し、生まれ変わらせています。
「社会的に価値を認められていない存在」に着目してエネルギーを注ぎ込み、「感動的な状態に変化させる技術が美術」と語る藤。美術にとどまらず、都市計画や防災、ゴミ問題など領域横断的に現代社会の課題にアクセスし、循環型社会や地域とアートの関係性を提起して、社会の中に新しいシステムを生み出していくことを自らの活動としています。さまざまな土地で人と対話しながら、言葉未満のことに光を当て、身近な出来事から社会を変えていくでしょう。