「彫刻家 森克彦展/翼果の帰郷展」は、愛知県立旭丘高等学校美術科で38年間教職を務めた森克彦氏とその教え子による展覧会です。愛知県尾張旭市在住の森克彦氏は、人間や昆虫、枯葉などの自然の造形物をモチーフに、記憶のかけらや原風景を形にした詩的で趣のある作品を制作しています。これまで新制作展と個展を中心に、精力的に作品を発表してきました。愛知県立旭丘高等学校美術科へは、1984年より非常勤講師として、1993年より教諭として努めてこられましたが、2022年3月の退職をもって、一つの区切りを迎えられました。
展覧会名の「翼果の帰郷」とは、羽をつけたカエデの種が遠くへ飛んで行き、ブーメランのようにまた里へ帰ってくることをイメージしています。森克彦氏に教えを受け彫刻の道を歩むこととなった卒業生は、作品の素材も活動領域もそれぞれに異なり、彫刻分野の多様性を体現しているようです。多彩な卒業生と森氏の作品が数寄屋造りの建築空間で共鳴する中で、彫刻の面白さやその核となる何か大切なものが見えてくるのではないかと思います。
これから彫刻家を志す若い人をはじめ多くの方にご覧いただけましたら幸いです。
本展企画者:村尾里奈