「視覚的なスケール感という点で、グランプリに選ばれた竹下麻衣作の《せんたくものかごのなかで踊る》は、特異な存在感を放っていました。典型的な日本画の画材と技法を用いつつ、大型の麻カンヴァスいっぱいに描かれた洗濯物カゴ。しかし描かれたモチーフが何であるのかを判別するより前に、目に飛び込んでくるのはうねりのある力強い描線です。日本画は画材の特質上、油彩やアクリルに比べて平面的な印象を与えることが多いものですが、画材が何であるかは気にならない開放的な表現がグランプリに相応しい作品です。」
Idemitsu Art Award 2022 講評 キュレーター木村絵里子「絵画のスケール館とは何か」より抜粋