赤羽史亮は、一貫して絵画に取り組みながらも様々にそのスタイルを変化させてきました。近年は触覚的なマチエールと彩度を抑えた色彩で、微小な有機体で埋め尽くされる地下や体内の世界を描いています。変容し続ける生物のように、赤羽の絵画は完成されたものでありながら同時に未完成で過渡的なものとして現れます。それは生命と同じく矛盾をはらんで私たちの心を揺さぶります。
本展では、初期作品から最新作までおよそ40点を展示します。鑑賞者は「絵画を通してありのままの世界に触れたい」という赤羽の、可視と不可視の世界を往復する行為に立ち会います。それは根源的な芸術の作用であり、芸術の存在理由の一つでもあるでしょう。世界の豊かさと不思議さに触れていく赤羽の作品をぜひご覧ください。