文谷有佳里は、大学で作曲を学んだ異色のアーティストです。即興による手の動きが生み出す緻密で緊張感や躍動感溢れる線の表現で注目されている岡山ゆかりのアーティストで県内初の個展になります。その制作スタイルは、当初から現在まで一貫してコンセプトや具体的に描くモチーフになるものは存在せず、黒い線が不規則に延びては広がり、縮まっては延び、そして集合体となって構築された不思議な画面が特徴です。無意識から生まれる自由な線の動きが集積されたユニークな作品です。美術館のガラス面にも描かれた生命体のような線の作品から生み出されるアグレッシブなスピード感は、観る人を未知なる作品世界に誘ってくれるでしょう。