1980年代から都市の風景を撮影し、2002年に岡山に移住して以降は身近な自然などを対象に撮影を続けてきた写真家・山口聡一郎による個展を開催いたします。
東京都・新宿という都市が持つ様々な表情の陰影を白黒写真により表現した写真集『都市回路』を発表の後、岡山に移住した山口は都市とは違う自然風景の表情を自動車の車窓から切り取った作品や、岡山出身の画家・竹久夢二の生家の集落、岡山出身の詩人・永瀬清子の生家を撮影した写真など精力的に発表しています。また作家活動だけでなく、山陽と山陰の写真家が中心となった写真雑誌『陰と陽』の編集・発行に携わるなど、写真文化の普及にも力を入れています。
最近作は写真の支持体を段ボールにして、森の中の見落としがちな一場面を拡大した組み写真を発表するなど、写真の可能性を追求した作品を発表しています。
本展は、これまで様々な角度から風景を切り取ってきた山口による、森の中や海辺の漂流物など、時間をかけて観察することでしか感じることができない生き物たちの息遣いが聞こえてくるような、静かな風景写真による展覧会になります。山口にとって、奈義町現代美術館では約11年ぶりの展覧会を、ぜひお楽しみください。