「日本画」とは何か?今も問い続けて…
中嶌虎威先生は、日本美術院同人として活躍した父・中島多茂都の影響で画家を志し、東京藝術大学日本画科を卒業後、父と同じく院展での活動を始めました。しかし次第に、近年日本画が西洋絵画の影響を受けて洋風化し、伝統的なあり方を見失ってしまったと考えるようになります。「日本画」とは何か?その問いに向き合うため、院展を離れ、自由な立場で制作・発表を続けることを決意します。
真の日本画の魅力とは何か、追及した先に「岩絵具の美しさ」「線描の力」をあげています。日本画の特質を「平面的に描いて立体をあらわす」と、陰影をつけずに線によって立体感を表すことで、岩絵具 本来の濁りのない美しい色彩で表現。そこには卓越した筆の運びによる線描が必要で、その力を十分に鍛錬することが必要と言います。約30年にわたり、後進の指導にも力を入れ、その考えが着実に引き継がれています。
今年80歳を迎えてもなお、衰えることのない日本画の魅力への探求心が、絢爛さ、清新さを感じる作品を次々と生み出しています。
本展覧会では、35点の作品を展示いたします。中嶌先生の美しい「線」と「色彩」をぜひご覧ください。