百万塔は、恵美押勝の乱鎮定後、称徳天皇の発願によって宝亀元年(770)に造られた木製の三重小塔です。塔の露盤の下には、それぞれ根本、慈心、相輪、六度等の陀羅尼を納め、乱の戦没者を弔うとともに、国家安穏を願いました。完成した百万基の塔は東大寺や元興寺などの諸寺に分置されましたが、現在は法隆寺にのみ伝来しています。
さて、富山県は「真宗王国」といわれるほど浄土真宗の門徒が多い土地柄です。宗祖親鸞は京都の六角堂で聖徳太子の夢告を得て、法然を訪ねたとされることから、太子信仰も盛んです。そのため、昭和31年には富山県聖徳太子会が結成され、同35年には当館を会場に北陸初の「国宝法隆寺展」も開催されたのです。
本展では、昨年市内の方からご寄贈いただいた法隆寺伝来の百万塔を、伝来した経緯とともにご紹介します。