日本写真界を独走し続けるアラーキーこと荒木経惟(1940~)。その彼が一貫して撮り続けるテーマに花があります。荒木が初めて撮った花は、少年時代の遊び場であった東京吉原の浄閑寺の彼岸花でした。
荒木経惟は1963年に広告代理店の商業写真家としてキャリアをスタートしますが、その間にも個展開催や私家版写真集を刊行します。その後、数々の問題作を発表し、次第に写真家としての評価が高まるなかで、最愛の妻陽子の死を境により多くの花を撮るようになってゆきます。
荒木経惟の花は、満開の美しさの先にある、清純から腐爛にさしかかる瞬間を切り取ります。官能的で淫靡なエロスとその中に潜むタナトスが交錯し、圧倒的な存在感で私達の感情を揺り動かすのではないでしょうか。
本展では「彼岸花」「色景」「近景」「花曲」「死情」「色情花」、絵画作品「花画」という7つのテーマに構成し約150点の作品を展覧いたします。