光が当たり人々の注目を集める出来事がある一方で、光を遮られ陰となりほとんどの人が知り得ない出来事もあります。
多くの場合、両者は表裏一体の関係にあり、ここに一石を投じる行為はときには孤独をもたらします。
社会問題を扱った近代劇の創始者ともされるヘンリック・イプセン(1828~1906)の代表作のひとつでもある『民衆の敵』の主人公は、人々から非難を受けながらも地域の未来を見据えて自身が正しいと信じる行動をとり続け、心配する家族に「世界で一番強い人間はただ独り立つ人間だ」と伝えました。
この言葉をサブタイトルに据えた本展では、社会での出来事を独自の視点で捉え、それぞれ異なる手法で人々に伝える三人の表現者、平川恒太(現代美術家)、山本草介(映像作家)、外山恒一(革命家)の新作や関連資料などを展示します。
混沌とした先行きの見えない時代を迎えるいま、本展が多くの困難を乗り越えるための思考を深める機会となれば幸いです。