北海道釧路に生まれた中原悌二郎(1888-1921)は、移り住んだ旭川や札幌で美術への傾倒を深め、絵画を学びます。21歳の時に荻原守衛と出会い、ロダンがもたらした力感あふれる表現に感激し彫刻へ転向。重厚で力強い塑像表現を追求し、院展を中心に作品を発表すると、非凡な才能に注目が集まります。
その後、病のため旭川の養家で療養生活を余儀なくされながらも、制作への情熱は冷めず再上京。院展で受賞するなど評価が高まりつつあったさなか、32歳の若さで没しました。
没後、友人で彫刻家の平櫛田中が保管していた作品を基に、有志によって組織された中原悌二郎遺作保存会が全作品を収集。1994(平成6)年、旧旭川偕行社を活用した中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館が開館し、その業績を展示・顕彰してきました。
道内各地の特色ある美術館を紹介する「アートギャラリー北海道」事業として開催する本展では、旭川市彫刻美術館、札幌芸術の森美術館の協力を得て、日本近代を代表する彫刻家・中原悌二郎の足跡を回顧します。