型染という日本の伝統的な染色技法を使いながら絵画的な表現を追求した芹沢銈介。大きな型紙に絵を描くように模様を彫り、屏風や染絵額といった大きな画面の型染作品を数多く生み出しました。また同じ型紙でも、色差し(配色)や表装によって全く異なる印象の作品にするなど、創作的な型染に挑戦しました。
1976年にフランス・パリの国立グラン・パレで開催された「Serizawa」展では、「中世のステンドグラスを思わせるような健やかな華麗さがあり、祈るような心地にさせられた」「この類い稀な染色物の位置を、マチスの切り紙と列べておくのは、あながちに間違いとはいえない」などと、その芸術性が高く評価されました。
この企画展では、「屏風」と「染絵額」という芹沢が手がけた「染絵」の世界を特集します。屏風10点、染絵額25点を一挙公開。芹沢が切り開いた、型染による「絵」の世界をどうぞお楽しみください。