本展覧会は、みちを歩き、そこで心惹かれるものを見つけ出し、作品を制作する作家たちを紹介します。
当館の所蔵作家である赤瀬川原平は、散歩に出かけては路上を観察し、「胸騒ぎ」を覚えるものを撮影、報告します。(そのひとつが”トマソン”です。)赤瀬川の多様な活動の根底にある大きな要素は、そのように見慣れた光景をよくみて面白味を見出す視点にあります。
今回紹介する作家たちも、同様にみちを歩き、よくみることから作品制作をはじめます。しかし、そこで切り取るものも、表現の仕方もそれぞれ異なっています。
本展を通して、それぞれのアーティストたちによるユニークな「みちの歩き方」をお楽しみいただき、見慣れたみちに潜む面白さや美しさを再発見いただければ幸いです。
トマソンとは?
本展には赤瀬川原平の《トマソン黙示録》を展示します。
トマソンとは、赤瀬川らが定義した概念で、「不動産に付着していて美しく保存されている無用の長物」を指します。例えば、トマソン1号である「四谷怪談」は、登って降りるだけの階段です。赤瀬川らは、この「トマソン」を探し、報告する活動を行いました。やがて、赤瀬川らは、さらに観察対象を広げ、自由に「胸騒ぎ」を覚える光景を探して歩く路上観察の活動へと展開していきます。