大川美術館には、童画家・茂田井武(もたい・たけし 1908-1956)のパリ放浪時代の画帳『ton paris(トン・パリ)』より全100点が収蔵されています。この画帳には、茂田井が1930-33年頃、パリに暮らし、日々感じ取った情景や人々との出会いとその記憶が、暖かな筆致とみずみずしい色彩によって描かれました。
本展では、「物語る絵」といわれ、戦後児童雑誌や絵本の装丁や挿絵などの仕事を通して、“夢”を描き続けた茂田井武の膨大な仕事から、その最初期と最晩年に取り組んだ画帳と絵本にスポットをあててご覧いただきます。若き日、パリ放浪のなかで描かれた幻の画帳『ton paris』(1930-33年)と、最晩年に病床で描き上げた絵本『セロひきのゴーシュ』(1956年)のための原画(ピエゾグラフ(複製画))をあわせて紹介します。