小林清親(弘化4~大正4・1847~1915)は“最後の浮世絵師”とも呼ばれる、明治期を代表する浮世絵師です。明治9年のデビュー作、東京名所シリーズは淡く明るい色調で光と影、天候や時間をも表現した、まるで水彩画のような木版画で“光線画”と呼ばれ人々の絶賛を浴びました。それ以降も、戦争画や歴史画、戯画などを描き続け、浮世絵の有終の美を飾ると共に、明治生まれの若い芸術家たちに大きな影響を与えました。
当館では2015年に清親没後100年を記念して、その生涯を約300点の作品・資料で辿る「小林清親 文明開化の光と影をみつめて」を開催しました。
この展覧会が機縁となって、清親の作品や資料、遺品類約300件の寄託を当館が受けることになりました。この中には、世に“小林清親写生帖”として知られ光線画の源泉となったスケッチブックや、未公開の下図類、自作の手箱や着用の裃(かみしも)などの身の回りの遺品も含まれています。
この展覧会ではそうした未公開、再発見の貴重な作品、資料を中心に展示、2015年の展覧会のサプリメント(増補)として開催する小林清親展です。