「視覚的に欲求不満がある 」
私は作品に、花や風景をモチーフとしてよく用いるが、
花や風景を描きたいわけではない。
私は、私の視界に映る、色彩そのものに興味があるらしい。
色彩は有機的なものである。
例えば、花が赤いのではなく、あの赤が、あの花のような形に成っているだけである。
色彩そのものが生命体である。
生きているのであれば、輝いていなければならない。
色彩や視界は、触れることもできず、食べることもできない。
実際に触れることのできるキャンバスや絵具を使い、消化してみる。
消化された画面は、欲求を満たしたあとの、 残り香のようなものではない。
何か別のものとして現れてくる。
私の視覚がとらえる生命を、摂取したいという欲求がある。
また他の人へ、接種することは可能か。
この現実世界が、
建物が増築されるように、
「何か別」の方向へ、広がっていくのではないか。
この世界は、まだ完成していない。
私が創る画面も、色彩と同じく有機的で流動的なものであってほしい。