愛の画家、色彩の魔術師といわれるマルク・シャガール(1887~1985)。彼が残した珠玉の版画280点を一堂に展示します。
シャガールは帝政ロシア(現ベラルーシ)のヴィテプスクに生まれました。革命と戦争の時代に翻弄されながらも主にフランスを拠点として制作し、20世紀において最も高い人気を誇った画家の一人として活躍しました。
“愛と平和への祈り”をテーマに、鮮やかな四季彩で描かれたシャガール作品の世界は、想像力と豊かな詩情に満ち溢れ、今もなお世界中の人々に愛されています。
また、油彩画だけでなく、シャガールは舞台美術など様々な分野で活動しました。なかでも、版画制作においては、銅版画やリトグラフを中心に生涯で約2,000点を超える版画作品を残しています。本展覧会では、シャガールが生涯にわたって重要なテーマとした旧約聖書に基づく『バイブル』、「千夜一夜物語」の名でも知られるイスラムの説話集をもとにした『アラビアンナイトからの4つの物語』、最高傑作との呼び声も高い『ダフニスとクロエ』、『悪童物語』、『サーカス』、『オデッセイ』など8つの版画集を紹介し、愛と祈りの物語世界へと誘います。