佐藤辰作(1952~)は、山形の山河や房総の海を題材に、季節や天候、時間の移ろいの中で、自然のさまざまな表情をとらえた油彩画を制作しています。
佐藤は山形県に生まれ、阿佐ヶ谷美術専門学校で橋本博英に師事し、在学中より主に個展、グループ展で作品を発表してきました。油彩画の正統な技法にのっとりながら、静物、風景問わず、澄んだ色彩、緻密な構成による作品を次々と制作し評価を得ました。東金に転居後、アトリエから出て風景と対峙して描き上げる方法をとってからは、穏やかな光や風を感じさせる画風へと変化し、その個性は一層深まりをみせています。
2011年に開催した「佐藤辰作展 外房の風Ⅲ」では、外房の風景画に焦点を当てました。このたびの展覧会では、静物画や人物画も展示し、初期作から近作まで画風の変遷に注目しながら、佐藤の半世紀にわたる歩みを紹介します。