このたび丸亀市猪熊弦一郎現代美術館では「国立美術館巡回展 受容と発展◎花ひらく近代洋画」を開催いたします。本展は東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、国立西洋美術館が所蔵する、日本人画家が影響を受けた西洋の作品を含む名作47点を通じて、日本近代洋画の展開を概観するものです。
すでに外光派という主流も生まれていた洋画は、明治末ごろから大きく変化しはじめました。西洋から持ちこまれた新しい表現に触発された画家たちが、個人の感覚を表出させた絵画を描きだしたのです。その後も日本の洋画は西洋に学び、その影響を色濃く受けながら発展していきますが、同時に技法や技術の移入に終わらない独自の絵画を求めて模索を続け、昭和初期にかけてさまざまな作品が生み出されました。こうした独自の展開をみせた日本の近代洋画は、この間どのような変化をたどったのでしょうか。
本展では藤島武二をはじめ萬鉄五郎や藤田嗣治、安井曽太郎、国吉康雄、前田寛治など日本近代洋画を代表する画家たちの作品が出品されます。それぞれの作品の素晴らしさを改めて深く感じ取っていただくとともに、これらの作品を通じて、油彩画がどのように受容されてきたのか、西洋の影響を受けつつ発展してきた日本近代洋画の成熟の過程に触れていただければ幸いです。