私はこれまで手織りによる綴れ織技法を用いてタペストリーを制作し、完全機械で制作される自動織機による織にも触れてきました。今回の個展では、兵庫県の地場産業であるシャツ地で有名な播州織(先染綿織物)の産地にてオリジナルの生地を制作し使用しています。素材、質感、布の表情を活かし、機械と人の手による作品を制作し、人間と機械が共存し、芸術と技術が共生する一つの形を試みました。
人が行き交う場面を切り取り、シャツで表現しています。
歩いている親子、犬の散歩をしている人、サラリーマンかと思われる人などこの風景は日常なのか、非日常なのか。
再生しているのか、崩壊しているのか。
変容している姿を表現しています。
※オリジナルの生地は一部水に溶けてしまう織布であり、織布として成立しない生地です。溶ける前は織布として成立しており、加工が容易です。ミシンを用いて溶けないミシン糸を織物の糸の代わりとして部分的に縫い、部分的に溶かした後、織の技法であるもじり織に見えるように加工しています。