調布市武者小路実篤記念館は昭和60(1985)年10月に開館してから、令和2年に35周年を迎えました。
当初は昭和51(1976)年の武者小路実篤没後、武者小路家より調布市への寄贈された作品・資料約1700点(うち愛蔵品約200点、8割は図書)が収蔵品の柱でしたが、開館以降、「武者小路実篤、白樺、新しき村」に関する作品・資料を中心に積極的な収集活動を行ってまいりました。その収集品は現在6万点を超える数となり、展覧会や閲覧、調査・研究など様々な活動で活用し、また、後世に貴重な品を残すために保存活動を進めています。
収集品の多くが、武者小路実篤記念館の活動への信頼と後世に作品・資料を伝えてほしいとの思いから寄贈されたもので、このほか、調布市が計画的に購入してきました。
収集した作品・資料は、実篤の原稿、書簡、書画、愛蔵品、図書・雑誌のほか、交流のあった日本の近代文学・美術界を代表する人々の作品や資料、新しき村の活動記録や会員の作品など、幅広いジャンルにおよびます。
本展覧会は、実篤記念館の35年間の収集品の中から、文学作品の代表作である「愛と死」(昭和14年)、「真理先生」(昭和24~25年)の原稿、40歳頃から描き始めた書画の数々、新しき村で暮らした当時の日記「気まぐれ日記」(大正12~13年)、実篤の愛蔵品から池大雅「曲江行楽図巻」、夏目激石の実篤宛書簡や「禅堂風景」(淡彩画)など、名品の数々を展示します。また、寄贈品については寄贈者が託した思いとともにご紹介します。
これらを通し、良質な作品・資料をご鑑賞いただくとともに、調布市武者小路実篤記念館の収蔵品の内容の豊富さを、多くの方々にご紹介する機会といたします。