武蔵野美術大学美術館・図書館では「脇谷徹―素描ということ」を開催します。本展では、彫刻家・脇谷徹(本学共通彫塑研究室教授)の初期の作品から新作に至るまで、各時代の彫刻作品と、素描・絵画を中心とした平面作品を紹介します。
脇谷が制作においてただひたむきに目の前にある対象物と向き合い、視覚的特徴や質感・立体的なヴォリュームをつかみ、実在性を浮かび上がらせようとしてきた様が、作品から見えてきます。ありのままの「かたち」をつかむ行為全般を「素描」と捉える脇谷は、平面作品も立体作品も同じ「素描」の発露だとしています。装飾を取り払い、必要最低限の描線で空間の中あるいは紙の上に「素描」された「かたち」を目の当たりにすると、普段私たちがいかに印象や概念に影響されて事物を認識しているかということに改めて気付かされます。
本展が脇谷徹の真っ直ぐで力強い作品世界と、造形における「素描」という表現の本質にふれる機会となれば幸いです。