佐賀県立美術館は開館以来、明治から昭和初期にかけて活躍した佐賀県出身の日本近代洋画の巨匠、岡田三郎助(おかだ・さぶろうすけ、1869~1939)の画業と人物を顕彰してきました。
岡田三郎助は画壇の巨匠であると同時に、偉大な教育者でもありました。約35年にわたり東京美術学校で教鞭を執るかたわら、本郷洋画研究所や女子洋画研究所などの画塾も主宰し、多くの若者に自身の知識や技術を惜しみなく伝授しました。とりわけ大正末頃に自身のアトリエを増設して開設された女子洋画研究所は、当時としては非常に珍しい女性に門戸を開いた画塾であり、岡田の開明的な思想が伺えます。
今回の展示では、岡田の名品とあわせて、彼に先立ち教育者としても活躍した小代為重・黒田清輝・久米桂一郎、岡田とともに教壇に立った藤島武二や、岡田が導いた有馬さとえ・甲斐仁代・古沢岩美ら後進の画家たちの作品を紹介し、岡田三郎助の美術教育者としての姿を探ります。