田園や森に戯れる神々や半神たち、そしてその庇護を受ける人間たちが恋や冒険を繰り広げるギリシャ・ローマ神話は、時代を経るごとに解釈や創作が加えられ、美術作品の主題としても豊かな広がりを見せてきました。また、18世紀からは、古代遺跡発掘の成果を反映し、歴史的・考古学的興味の基に古典主題を表現する作品が数多く制作されました。美術の表現が多様化していく19世紀末以降も神話と古代の文化はインスピレーションの源として多くの作家を魅了しています。本展覧会では、18世紀のジョヴァンニ=バッティスタ・ピラネージによる版画作品からポール・デルヴォーら20世紀の作家たちによる多彩な作品まで、近代美術に表された神話の登場人物や古代の情景をご紹介します。国内に所蔵されている絵画、版画連作、彫刻作品約60点にイギリス、リヴァプール国立美術館所蔵の19世紀ロイヤル・アカデミーの作家たち、フレデリック・レイトンとローレンス・アルマ=タデマの愛らしい小品2点を加え、甘美な古典の世界をお楽しみいただきます。