北海道の自然が描かれるとき、多くの場合、厳しい冬の風景や荘厳な雪山などがその対象とされます。しかし夏の北海道の清々しい緑の景色も唯一無二のもので、多くの北海道出身の画家によって愛され、描かれてきました。
士別市出身の佐藤進は、教員として働く傍ら水彩画に出会います。日々の野外制作で紙に写し取られた青々とした自然とその空気は、今も多くの人から愛されています。野外制作という信条は息子・道雄にも受け継がれます。父とは異なり油彩画を描く道雄は、緑の中に身を置き、身近な自然を力強いタッチでキャンバスに落とし込んでいます。
進は小樽出身の風景画家・中村善策とは水彩画を始めた当初から交流を持ち、やがて同じ一水会の風景画家として交流を深めます。一水会は画家の有島生馬が発足した具象作品のみの公募展で、現在も尚、多くの北海道の画家が所属しています。
本展は、佐藤進・道雄親子を中心に、同じく一水会所属の画家・教員をしてい
た水彩画家が北海道各地の「緑」を描いた作品を展覧します。