本展は、才能豊かな6人の作家の作品を紹介します。彼らはそれぞれに障害をもっていますが、ここでは、“障害”という括りの中で語るのではなく、一人の表現者としてその芸術を取りあげます。
まるでマチスの絵をおもわせるような大胆な画面構成の川村紀子。正確な描画のストロークや、几帳面に塗り分けられた色面が、美しいハーモニーを奏でる清水慶武の作品。
車窓から映る一瞬、一瞬の風景が、一期一会の風景として、私たちの心に響く齋藤勝利の風景たち。中野昌司の色は、力がみなぎり、そのタッチの一つひとつには自信が溢れています。自由奔放に見えつつも深い情感に溢れた東美名子の作品。触覚を頼りに、ドラフティングテープや、カッティングシートを切り抜き貼り付けていく光島貴之。
本展は、障害の有無にかかわらず「才能ある人は正当に評価されるべき」といった、いわばごく当たり前の視点にたって企画されたものです。
心に鮮烈に響いてくる彼らの作品は、絵画が、人に対してどれだけの力を持ち得るかという芸術の根源にかかわる問題の答えを導き出してくれるのではないでしょうか。