忠臣蔵との出会いと魅力
「一度くらいは観てみよう」ではじめた芝居見物。一度で終わらず、忠臣蔵だけで89点の作品ができた。展覧会では展示しきれず、ドローイングや版画が溜まっていった。義太夫協会に入って太棹を買い、師匠につき、忠臣蔵三段目「表門」を初めて弾けたときの驚きと喜び。体を通して伝わる響きに「音を描く」という自分のテーマが蘇った。衣装や背景の色彩とからむ語りと太棹の響き。人間のしたたかさ、脆さ、悲しさを、これほど美しく凝縮させた演劇を、私は知らない。 ゴトウ千香子
*今回は六段目《与市兵衛内勘平腹切の場》の作品を中心に構成いたします