富良野を拠点に活動する脚本家の倉本聰は、数多くのドラマ、映画、舞台を世に送り出してきました。大自然の中で成長する親子を描いた「北の国から」は日本を代表するテレビドラマであり、83歳を迎えた今も精力的な執筆を続けています。
倉本は仕事のかたわら、十数年にわたりライフワークとして森の樹の点描画を描いています。一本一本の樹の歴史や個性を想像し、その心の声を繊細な点描画に書き添える独自の表現は、脚本において徹底的な人物描写を得意とする倉本ならではのものです。
本展では倉本の脚本家人生の始まりから現在までの仕事を脚本原稿、スケッチ、舞台セットなどの貴重な資料で振り返るとともに、倉本が描き続けてきた点描画をご覧いただきます。東日本大震災の被災地・福島県富岡町で描いた「夜の森桜はそっと呟く」のシリーズは北海道初公開です。テレビの草創期である昭和中期から平成が終わろうとする今日にかけて、倉本が脚本作品、そして点描画を通じて人々に投げかけてきた厳しくも温かなまなざしを感じてください。