神戸市立博物館では、南波松太郎・秋岡武次郎両氏寄贈の古地図コレクションや南蛮・紅毛美術で有名な池長孟氏収集の古地図、及び博物館準備室以来集めてきましたものを合わせて、8000点以上の古地図を収蔵し、日本一の質・量と自負しています。今回で37回目となる古地図の企画展では、これらの館蔵品の中から、美しい山と海を持つ神戸にちなみ、「山」と「海」をテーマにした古地図を展示します。
日本第一の山といえば富士。古くよりその美しい姿が愛でられて、絵の題材にもよく取り上げられ、また信仰の対象としても重要でした。それ故、まず、「山」を描いた古地図では、富士山をテーマにした地図を並べます。国絵図でも富士山を強調して記した図がありますし、鳥瞰図的な富士図も作られました。さらに、富士山以外の山も信仰の対象や修行の場として重要視されていました。そのため、山そのものを描いたものではありませんが、山に存在する神社仏閣を描いた寺社境域図なども、広い意味で山に関わる地図ともいえます。その様な神社境域図である高野山を描いた古地図なども、展示します。
一方、「海」は航路図や港を描いた古地図を展示します。航路図屏風や絵巻、道中図のなかの海路を描いたものや、四国の金比羅宮(金刀比羅宮とも称する)に至る参拝航路図、航路を記す日本図、長崎や横浜などの港の地図を並べます。
また、近代の神戸の山と海を描いた地図、例えば六甲山のハイキングマップや近代的測量で水深が記入された海図も展示します。江戸時代とは違うこの様なきんだいの地図も紹介して、「山と海の地図」の変化も探ります。