武将たちのふるさと石見地域と、海をこえた交流
武士が勢力を伸ばし、鎌倉幕府、室町幕府などの武士政権が列島を支配した中世(平安時代末~安土桃山時代)は大小の戦乱が起こった時代でした。石見国(いわみのくに)でも、益田氏(ますだし)・三隅氏(みすみし)・吉見氏(よしみし)など複数の武将が並び立ち、しばしば権益をめぐる争いが生じていました。一方でこれらの武将たちは、京都の足利(あしかが)将軍や隣国の大名大内氏(おおうちし)・毛利氏(もうりし)とわたりあう中で、手を結び交互に協力することもありました。彼らの活躍の背景には、日本海を通じた交易・交流による石見国と海外(朝鮮、中国、東南アジアなど)とのつながりがありました。領内の産物をもとに朝鮮や蝦夷地(北海道)の貴重な産物を入手していた益田氏のように、武将達は武略だけでなく交易にも深く関わっていたのです。本展では武将たちの奮闘の様子を物語る古文書や、彼らの高い美意識をうかがわせる美術工芸品など国宝1点、重要文化財5点を含む約100点により、石見国内で最も有力であった益田氏を中心に、石見の戦国武将の歴史と文化を紹介します。