浮世絵師歌川広重(1797~1858)は、東海道五拾三次など、なつかしく親しみやすい風景版画作品で人々に親しまれています。
本展は、雪の蒲原や雨の庄野でおなじみの保永堂版東海道五拾三次之内(全揃)はもちろんのこと、20以上もある広重の東海道絵から代表的な作品のほか、江戸名所絵、全国各地の名所絵など、広重の主要な風景版画作品からなります。
広重の風景版画で人の心に強く残るのは、名所や名物を描いている作品だけではありません。「雨」や「雪」あるいは「夜」などがサブテーマになっている作品で印象的なものが多くあるのです。このようにして描き出された情景の中には、登場人物の気持ちや感情が込められています。だからこそ、見る人々の心に響くのだといえるでしょう。
2017年は広重の生誕220年にあたっており、広重の風景版画がなぜ昔も今も人々に愛され続けるのか、あらためてその魅力をひもときます。