宇都宮氏ゆかりの国宝・重文 約七〇点、計二三〇件以上の名宝が宇都宮の地に大集結!
中世宇都宮氏は、平安時代の末期から戦国時代の終わりまで、四〇〇年以上にわたって現在の宇都宮市を本拠に活躍した名門武士団です。下野一宮(いちのみや)・.宇都宮明神(現二荒山(ふたあらやま)神社)の神職をつとめる一方で、その勇猛さから「坂東一の弓矢取り」とも評されました。宇都宮氏は関東を代表する名族として、源頼朝の鎌倉幕府、足利尊氏の室町幕府、そして豊臣秀吉の政権下でも、それぞれ重要な役割を演じています。
また、宇都宮氏は「和歌好き」としても知られ、五代頼綱(よりつな)が歌人藤原定家(さだいえ)(ていか)に色紙への執筆を依頼した古来の秀歌が、百人一首成立のきっかけとされます。頼綱は浄土宗の開祖・法然(ほうねん)の弟子となったほか、浄土真宗の開祖・親鸞(しんらん)も都宮氏領内の稲田(いなだ)(茨城県笠間市)に滞在して関東への布教にあたり、その縁で領内高田(真岡市)には専修寺(せんじゅうじ)が建立されて宇都宮氏の厚い保護を受けています。
当館が宇都宮市に開館して三十五周年という節目の年にあたって、全国に残された宇都宮氏ゆかりの文化財をもとに中世宇都宮氏を再評価し、あわせて栃木県の豊かな歴史・文化を再認識していただきたいと思います。